逆流性食道炎の概論 ~ 薬剤性逆流性食道炎.com
概論
食道内酸逆流は,定型的自覚症状として 「胸やけ」、他覚所見として下部食道粘膜の炎症性変化を引き起こします。
食道内酸逆流は健常者でも起こり、食道内 pH モニタリングの成績では、 24 時間のうち最大 5 %程度までは逆流( pH4 以下の時間割合)が起こりえます。
胃酸の客観的な指標はpH(ペーハー)です。 1が一番酸が強く、7が中性で14がアルカリが一番強いということです。
しかし,健常者の生理的食道内酸逆流は必ずしも胸やけ症状や食道粘膜の炎症性変化を引き起こすとは限りません。
過剰な食道粘膜刺激は、胸やけや食道粘膜の炎症性変化を引き起こします。
食道粘膜の炎症性変化はびらん・潰瘍のあるものは内視鏡単独で、軽症炎症のみにとどまるものでも色素撤布を併用した色素内視鏡によって観察され、場合によっては食道粘膜の生検によってはじめて食道炎の存在が確認されます。
胸やけ症状を訴える症例のおよそ 1 / 3 は内視鏡的には正常食道 粘膜としか判定できないという事実があります。
一方、何らかの理由で内視鏡を行った際に食道炎を指摘された症例でも胸やけ症状のない症例がいることも事実であり、人間ドック検診受検症例でも内視鏡的食道炎が発見されることもあります。
すなわち、食道粘膜所見と自覚症状との間に開きがあることが、逆流関連疾患を扱う時の大きな間題点となります。
そのため、食道内酸逆流によって引き起こされる病態すべてを包含する概念として胃食道逆流症( gastroesophageal reflux disease : GERD )あるいは逆流症の概念が生まれました。
内視鏡所見の明らかなものを内視鏡陽性逆流症( endoscopy - positive GERD )、内視鏡所見のないものを内視鏡陰・ 1 生逆流症( endoscopy - negative GERD )と言います。
しかし、食道粘膜の色調変化型病変のものをどちらに扱うかはまだ明確にはなっていないようです。
食道内酸逆流は、 pH モニタリングの成績からみると健常者でも起こりうる現象です。
健常者の食道内酸逆流は主として日中に、しかも食後に多く発生する事がわかっています。
24 時間全体では食道内 pH が 4 以下に低下する逆流時間の割合は 3 ~ 6 %であり 、日中だけに限定するとさらにその時間割合は上昇します。
内視鏡陰性逆流症患者(内視鏡検査では異常所見がないが逆流が起こっている)では、半数以上が食道内酸逆流時間の延長を示します。
が、一方で明らかな食道粘膜病変を示す食道炎症例(内視鏡陽性食道炎)でも食道内酸逆流時間が 5 %以下のことがあります。
このことは食道内酸逆流時間の延長が食道炎あるいは逆流症状発現に重要であることを示す事実になりますとともに、食道粘膜の酸に対する感受性が自覚症状発現においても、また食道粘膜病変発現の機序においても充進していることを示唆します。
したがって、食道内酸逆流時間の延長は逆流症の重要な所見ですが、逆流時間の延長が診断の絶対的根拠にはなりません。
現時点では,逆流症の定義は、「食道内への酸逆流によって、自覚的あるいは他覚的症状のいずれか、もしくは両方をもつもの」とし、酸逆流時間の延長や内視鏡的食道炎の所見が有用な所見ではあっても、診断のための絶対的基準とすることは難しいということになります。